これから飼い主となるみなさんへ

動物愛護法において私ども子犬(動物)の販売者はその犬種(動物)の特性や飼養方法等をお客様に説明して理解して頂くという責任が課されています。

また、飼い主となるみなさんも同様に飼い主としての責任が課されることになります。

飼い主として以下の点は最低限ご理解頂いた上で子犬をお迎え頂けますようお願い致します。

なお、ここでは環境省が定める【動物の保護及び管理に関する法律】をベースに解説しておりますので、その点を踏まえた上でお読み願います。

飼い主の責任について認識する

単にカワイイからといった衝動的な勢いや工業製品を購入するような安易な感覚で子犬を購入することは許されません。

一度子犬を迎えた飼い主はその子に対して一生涯の責任を負うのです。

その責任とは、犬種の特性をじゅうぶん理解し、適正な飼育環境を確保した上で飼育するというその犬自身に対する責任です。

当然ながらご家族全員が飼育に対して同意されていることが大前提となります。

そしてもうひとつはその犬が他人や周囲の環境に対して迷惑を及ぼさないように管理するという社会に対する責任です。

必要な情報を得た上で犬種を決める

犬種を決める際には容姿(見た目の可愛らしさ)だけで選ぶことは避けましょう。

その犬種の特性(特に食性、適応環境、運動能力、気質、成犬時のサイズ、飼育過程において必要とされる手入れ等)をしっかりご理解頂いた上で決めてください。

また、一戸建て、集合住宅、持ち家、賃貸住宅といった住宅環境によってもその犬種を(場合によってはペット自体を)飼えるかどうかが左右されます。

特に集合住宅や賃貸住宅の場合は管理組合などに飼育条件をしっかり確認しておきましょう。

終生飼育について考える

これまで飼育してきたにもかかわらず無責任に手放してしまう(飼育を放棄する)飼い主がいますが、これが不幸な動物を増やす大きな要素のひとつです。

おもな理由は以下の通りです。

ペットを飼育できるかどうかはある程度先(その犬種の平均寿命)を見越した上で判断するようにしましょう。

  •  ペット不可の住宅で飼育してしまったためのトラブル
  • 転勤などの転居先がペット不可の住宅
  • 家族構成および生活環境の変化(結婚、就職等)
  • 飼い主自身(家族)の病気や老化
  • 飼い主自身(家族)の動物アレルギー
  • 近隣からの苦情
  • 動物医療費の負荷

適正な飼育方法を知る

犬はあくまでも人間とは異なる動物であり、人間と区別したけじめある接し方を心掛ける必要があります。

近年増加傾向にある「ペットは家族の一員」という考え方は愛情を持って大切に育てるという意味では確かに間違ってはいませんが、度を越して犬を擬人化した接し方をされている飼い主さんが多々見受けられます。

犬にはその生態に適した環境、食事、運動量がありますので、それに見合った適正な飼育を心掛ける必要があります。

当然ながら日頃の健康管理や生活環境の衛生管理も大切です。

繁殖制限に関する情報

オスとメスとでの飼育環境においては、いつの間にか子犬が産まれていたというケースも考えられます。

犬は1回のお産で小型犬で3~4匹、大型犬に至っては10匹近くの子供を産むことも珍しくありませんので、一般の飼い主さんですと子犬たちの新たな飼い主さんとなる譲渡先を探すのもひと苦労です。

貰い手が見つからないからといって捨ててしまうようなことは当然許されることではなく、違反した場合は法律に基き罰せられます。

原則として(法律上では)生まれ来る子犬すべての飼育、または譲渡が確実に可能である場合を除いて飼い主は避妊手術、去勢手術の措置をとるよう努めるべきとしています。(自治体によっては避妊手術・去勢手術の費用に対する助成制度が設けられている場合もあり)

手術の時期は生後7~8ヶ月齢あたりが理想的と言われており、それ以降でも早めの手術が効果的です。

避妊・去勢手術のメリット 去勢・避妊手術のデメリット
オス
  • 前立腺の病気、精巣や肛門周辺の腫瘍などの予防効果がある
  • 性的欲求によるストレスを抑えられる
  • 攻撃性が抑えられ温和になる傾向がある
  • マーキング行為とテリトリー意識が減少する場合がある
メス
  • 望まない妊娠を避けられる
  • 子宮の病気や乳ガンの予防効果がある
  • 発情期のストレスを和らげ出血による煩わしさもなくなる
共通
  • 長生きする可能性が高くなる
  • オスとメスで一緒の飼育が可能となる
  • のちに子供を産ませたくなっても不可能
  • 栄養の偏りによっては肥満になる傾向がある
  • 非常に稀ではあるがホルモンバランスを崩し皮膚病を発症する場合がある

ズーノーシス(人畜共通感染症)の予防に必要な情報

犬の病原菌だからと言って人間に無関係とは限りません。

犬から人間へ感染する病気(その逆パターンの病気)を一般的には「ズーノーシス」、「人畜共通感染症」と呼び、厚生労働省ではこれらを「動物由来感染症」と呼んでいます。

ズーノーシスは世界中で200種類近く、日本国内で100種類近くあると言われています。(犬以外の動物による感染症も含む)

その中でおもな病気は以下の通りです。

【ウィルス性によるもの】
犬のおもな症状 人のおもな症状
狂犬病 よだれ、意識障害、狂躁または全身麻痺、昏睡後100%死亡。 不安感、恐水症状、興奮、麻痺などの神経症状、発症後は昏睡、呼吸障害、100%死亡。
ウエストナイル熱(脳炎) ひどい症状は起こさない。 突然の発熱(39℃以上)、頭痛、筋肉痛、時に消化器症状、リンパ節腫脹、発疹(胸・背・上肢)、多くは1週間程度で回復、怠感が残ることも多い。
【細菌性によるもの】
犬のおもな症状 人のおもな症状
レプトスピラ症 腎炎。げっ歯類は無症状が多い。 発熱、筋肉痛、眼球粘膜出血、黄疸、出血。
パスツレラ症 無症状が多い。 傷口が腫れて痛む。軽症。発症した場合は上部気道炎、気管支炎、肺炎をおこすこともある。死亡例なし。
サルモネラ症 無症状が多い。 発熱、下痢、嘔吐等の急性胃腸炎。
カンピロバクター症 無症状が多い。 発熱、粘血便を伴う腸炎。
仮性結核 無症状が多い。 胃腸炎。虫垂炎。泉熱様疾患、発熱、発疹。
エルシニア・エンテロコリチカ感染症 無症状が多い。 頭痛、咳、咽頭痛など風邪の症状。腹痛、吐気、嘔吐、胃腸炎、下痢、虫垂炎、関節炎。
【原虫によるもの】
犬のおもな症状 人のおもな症状
トキソプラズマ症 下痢、ジステンパー類似症状。 不顕性感染がほとんど。急性の場合、発熱、脈絡網膜炎、脳症状。先天性の場合、上記症状以外に脳水腫、水頭症、発育障害。
【真菌によるもの】
犬のおもな症状 人のおもな症状
真菌症(皮膚糸状菌症) 脱毛、フケの発症、皮膚の肥厚、痂皮形成。 軽度の脱毛等の皮膚障害、かゆみを伴う。
【寄生虫によるもの】
犬のおもな症状 人のおもな症状
エキノコックス症 無症状が多い。 上腹部の不快感、膨満感、腹痛、肝機能障害、腹水、黄疸、重度の肝機能不全。
回虫症 子犬は食欲不振、下痢、嘔吐。成犬は無症状が多い。 幼児で肝臓、脳、目等に障害。
疥癬症 皮膚の強いかゆみ、脱毛。 皮膚の強いかゆみ、脱毛。