- ひとり暮らし(共働き)で日中留守にしますが子犬を飼うことはできますか?
- オスとメスはどちらが飼い易いですか?またその違いは?
- 抜け毛が少ないのはどの犬種ですか?
- 将来体重は何kgになりそうですか?
- 両親犬の体重は何kgですか?
- どんな性格の子犬ですか?
- 子犬の空輸って大丈夫ですか?
- 血統書は付いていますか?
Q1. ひとり暮らし(共働き)で日中留守にしますが子犬を飼うことはできますか?
A1. 勤務時間が不規則で帰宅出来ない日があるなど、よほど不規則な生活サイクルでなければ飼育は可能です。
最低限の必要条件としましては、1日2回の食事を与えられること、室内飼育の場合は室温を快適な状態に保てることです。食事の回数はほとんどのブリーダーさんが1日2~3回に調整済みの状態でお引き渡ししておりますので、これらの点をクリアして頂ければ子犬をお迎え頂いても大丈夫です。
日中留守にされる飼い主さんは、子犬を迎え入れる際に特別なこと(何日もの連休を取るなど)はなるべくせず、普段の生活サイクルに近い状態で子犬を迎え入れるようにしましょう。普段と違った環境で子犬を迎え入れてしまうと、せっかく今までの(ブリーダー宅の)生活サイクルから新しい飼い主さん宅の生活サイクルに慣れつつあるところで再び環境が変わってしまいますので、本来なら一度だけで済む環境変化によるストレスを二度与えることになってしまいます。
よく「ずっと子犬に付きっきりでなければダメですか?」といったご質問を頂きますが、その必要はまったくありません。飼い主さんが付きっきりでは子犬が喜んで遊びたがってしまうため、子犬が落ち着いて休めるようにひとりでゆっくり過ごすための時間を与える(=留守番させる)くらいの方が理想的です。また、留守番をさせるなどメリハリのある生活サイクルはしつけの面においてもプラスに働きます。
参考までに日中留守にすることによって考えられるデメリットを挙げますと、留守中に排泄物の処理(掃除)ができない点でしょう。成犬になれば排泄回数が減りますので掃除はラクになりますが、子犬の時期はある程度覚悟をしておかなければなりません。
その他に気持ちの面で必要なことは、その犬種の特性をじゅうぶん理解されていること、ご家族全員が現在の生活環境下での飼育に賛成されていること、当然のことながら一生涯責任を持って面倒をみてあげる覚悟ができていることです。
それでもやはり今の生活環境での飼育が心配ということであれば、現状では子犬の飼育を諦めるべきなのかもしれません。飼い主さんが不安な気持ちのまま子犬を迎えてしまうと子犬も自然にその気持ちを感じ取って不安感を抱いてしまい、本来楽しいはずの生活がお互い(飼い主さんと子犬)にとって負担と感じるようになってしまいます。
Q2. オスとメスはどちらが飼い易いですか?またその違いは?
A2. 一般的に男の子よりも女の子の方が性格が温厚で飼い易いというイメージが浸透しているようですが、果たして実態はどうなのでしょう?
一般的に“オスは気性が荒い”というイメージで見られがちですが、気性の荒さは性別によって違ってくるものであはりません。犬種の違いによる差は各犬種ごとの特性としてあらかじめ解っていることなのであえてここは解説を省きますが、それとは別に大きく影響してくるのが飼い方(=しつけ方)です。
子犬にはそれぞれ生まれ持っての個性があります。個性はしつけ方で変わってくることはありませんが、気性の荒さは成長の過程で形成される性格的な要素が大きいため飼い方(しつけ方)で違いが生じてきます。すなわち、きちんとリーダーシップを発揮して本来あるべき主従関係さえ構築出来ていれば性格の良い子に育ってくれますので、性別によって飼い易さが変わることはありません。
ただ、現実に目を向けると多くの飼い主さんは愛犬を溺愛して対等な(友達のような)関係になってしまったり、場合によっては愛犬よりも下位に見られてしまい、愛犬のしつけに手こずってしまうことが多いようです。
しつけの成否は最初の1ヶ月間で決まると言っても過言ではありません。幼犬時の間違った接し方(しつけ方)により本来あるべきではない関係性が構築され、以降もその間違った接し方を続けてしまうとその関係性は一生続くこととなり、支配欲の強い子は飼い主さんを自分よりも下(犬社会で言う群れのメンバー)に見る傾向が強くなります。そうならないためにも最初の1ヶ月間は本来あるべき関係性を構築する上で非常に重要な期間(最初の1ヶ月間でその後10数年間の関係性が決まる)と言えるのです。
性格的な面とは別に性別によるおもな違いを挙げると、男の子にはマーキング(あちこちにおしっこをして臭い付けをする行為)の習性があること、女の子には発情期(生理)があることです。
男の子のマーキング行為は排泄行為とは別モノで、飼い主さんがリーダーとして認められていれば本来あり得ない行為です。犬はその群れの中で1匹だけがリーダーとなることが許され、群れのメンバーはマーキング行為を一切行いません。つまり飼い主さんがしっかりとリーダーシップを発揮できていればマーキング行為などあり得ないのです。中には成犬になっても普段過ごしているお部屋の中に限っては足を上げずにしゃがんでおしっこをする男の子もいる程です。
女の子の発情期はおおよそ10日間ほど出血が続きますが、小型犬ならたいした量ではなく、自分で舐めて処理してしまうためそれ程気にはならないでしょう。いずれにしても年に1~2回のことですので特に気にする程のことではないでしょう。
ただ、在庫を抱えるペットショップさんでは「女の子(男の子)よりも男の子(女の子)の方が飼い易いですよ」といったお店側に都合の良いセールストークで早く売りたい子(生後日数が経過して大きくなった子)を勧めるところもあったりします。
最終的には飼育環境やご自身の好みに応じて選ぶことをおすすめしますが、そもそも子犬を迎えてしまえばほとんどの飼い主さんは「性別なんて関係ない!」とお感じになるはずです。
Q3. 抜け毛が少ないのはどの犬種ですか?
A3. 昨今はさまざまな犬種がペットとして飼育されていますが、抜け毛が多い犬種の方が圧倒的に多数派を占めます。生き物である以上抜け毛は避けられませんが、その中でも毛が抜けにくい犬種は存在します。
毛が抜けにくい条件としては、被毛が『シングルコート』であること。本来、犬の被毛は防寒目的のアンダーコート(下毛)と防護目的のオーバーコート(上毛)で構成された『ダブルコート』ですが、アンダーコート(下毛)を持たない犬種の被毛を『シングルコート』と呼びます。代表的な犬種はプードル、ヨークシャーテリア、マルチーズ、パピヨンなどです。
また、『剛毛質や巻き毛状であること』も毛が抜けにくい要素のひとつと言えます。代表的な犬種はシーズー、ウエストハイランドホワイトテリア、シュナウザーなど。ですので、『シングルコート』でなおかつ『剛毛質や巻き毛状』というふたつの要素を兼ね備えたプードルは抜け毛が少ない”最強”の犬種と言っても良いのかもしれませんね。
なお、『短毛種は抜け毛が少ない』といったイメージをお持ちの方もいらっしゃるようですが、これは単なるイメージに過ぎません。例えばチワワにはスムースコート(短毛)とロングコート(長毛)の2種類が存在しますが、抜け毛の本数としてはどちらもほぼ同じです。ロングコートは抜け毛の量がかさばる(ボリュームが大きい)ため抜け毛が多いように感じますが、同じ犬種であればスムースコートもロングコートも抜け毛の本数はほぼ同じです。
Q4. 将来体重は何kgになりそうですか?
A4. 判りません…。成長後にどの程度の大きさに仕上がるかの判断材料は、現時点での身体つきや親犬のサイズくらいしかありません。従いまして「大きめ」「やや大きめ」「標準」「やや小さめ」「小さめ」といったレベルでのお答えが妥当なところでしょう。(人間の発育に置き換えてみればお解り頂けますよね)
一般論として、他の子と比較して手足がガッシリしていたり長めだったりする子は大きく成長し易いと言われています。また、兄妹の数が多ければ小さめの子が揃っていたり、逆に少なければ(1~2匹の場合は)大きめの子が多い傾向がありますが、その時小さかった(大きかった)子がそのまま小さめに(大きめに)仕上がるとは限りません。
なお、ショーブリーダーなど特定の犬種にこだわった専門犬舎だと、系統がある程度確立されている場合が多めです。そういったブリーダーさんでしたら、親犬・その他の成犬・過去に生まれた子供たちを見ることによって子犬の将来の(成長後の)姿を予測し易い傾向があります。ただし、出産直後で子育て中の母犬は心身ともに疲れて痩せていたり毛吹きが悪い場合もあるので、母犬に関してはその点を考慮した上でご覧頂いた方が良い場合もあります。
Q5. 両親犬の体重は何kgですか?
A5. 子犬の成長後の大きさを考えてのご質問ですよね?確かに両親犬の体重は成犬時のサイズを予測するためのヒントになるのですが、あくまでも“体重”はひとつの要素に過ぎません。
その理由は見た目(体長・体高)が同じようなサイズでも、骨量や筋肉量によって体重が異なる場合があるからです。特に小型犬の場合はそれが顕著に現れてきます。
もし両親犬の大きさを参考にされるのであれば“体重”という数値だけに固執せず、「大きめ」「標準」「小さめ」といったサイズ感と「ガッシリ体型」「細身体型」といった体格を総合的に判断することが大切です。
そのためにはやはりご自身の目で実物を確認するのが一番なので、「両親犬のサイズから子犬が成長した姿をイメージしたい」という場合は遠慮なくブリーダーさんに両親犬の見学もお願いしてみましょう。(父犬は別のブリーダーさんのもとにいる場合もあります)
なお、子犬は両親犬よりも祖父母犬に似る(=隔世遺伝)場合も多々あります。子犬が成長時に両親犬とは似ていない容姿に仕上がるケースもありますので、そういった点もひとつの知識として覚えておくと良いでしょう。
Q6. どんな性格の子犬ですか?
A6. 子犬を見学できるのはおおよそ生後1~2ヶ月齢になりますが、その月齢での“性格”は意外とあてになりません。
まず子犬は生後3週齢を迎える頃から自らの意思で動き回るようになります。まだこの時期はヨチヨチ歩きの状態で、ようやく周りの兄妹犬を仲間として認識し始める時期です。当然この時期には個性の違いといったものはほとんど見られません。
生後4週齢を迎える頃には徐々に動きが活発となり、ようやく親兄妹以外の周囲のものや人間に対して興味を持ち始めます。ただし、まだどの子も個性の違いはあまり見られません。
そして生後5週齢を迎える頃にようやく個性が表れはじめます。兄妹犬の中でおとなしい(控えめな)タイプか、やんちゃな(積極的な)タイプか、といった程度の違いでしたら見分けることができますが、この時点での個性はあくまでも兄妹犬の中でのものでまだまだ流動的です。
生後6週齢を過ぎるとその個性の違いがさらに際立ってきますが、みなさんがイメージする性格とはまだまだ違いがあります。また、この頃の個性の違いはあくまでも兄妹犬と一緒にいる中でのものなので、他の兄妹犬たちからいつもちょっかいを出されてしまうようなおとなしいタイプの子が、新しい飼い主さんのお家へ行ってみると今までのおとなしさが嘘のようなやんちゃっ子になっていたということもあります。(もともとやんちゃな子は新しいお家へ行ってもそのままの場合が多いようですが…)
また、生後日数を問わずよくあるケースとしては、“激しく鳴いてうるさそうに見える子”が実はお腹が空いてアピールしているだけだったり、“おとなしくしている子”が実は眠くてじっとしているだけだったりと、そのタイミングによって違った印象に感じることもあります。
恐らくみなさんが知りたいと思われている「性格」というのは、「無駄吠えが多いか」「従順な子か」「しつけがしやすいか」といった点(自我が芽生えてから固定化される性格)ではないでしょうか?しかしながらこれらは生まれ持った個性とは違います。みなさんが知りたいと思われているその「性格」はほとんどが生後3~4ヶ月齢の経験(子犬への接し方、しつけ、飼育環境)を基に形成されます。要はいかに飼い主さんと子犬が良好な関係性(おもに主従関係)を築けるかという点に懸かっているのです。
生後1~2ヶ月齢で見られる「性格」は「自我が芽生えてから現れる性格」というよりも「生まれ持った個性」や「兄妹犬の中での個性」と考えた方が良いでしょう。
Q7. 子犬の空輸って大丈夫ですか?
A7. 子犬が生後2ヵ月齢の場合、人間の体年齢に換算すると3才程度に値します。人間の乳幼児でも飛行機での移動ができるのと同じように、子犬も飛行機での移動程度なら問題ありません。
むしろ長距離を車で移動するのであれば飛行機の方が子犬への負担は軽くて済み、羽田空港からの直行便であればほとんどの地域(沖縄、離島を除く)は60~90分程度で到着します。
また、機内で子犬が乗るスペースは客室と同等に空調(気圧、温度、湿度)が保たれているので飛行中は熟睡している子がほとんどです。
ただし、空輸がまったくストレスにならないということではなく、離着陸前後の搭乗スペースとの移動作業中は冷暖房が効いていない空間を経ることになるので、その数分間だけは多少の負担を強いることになると言えるでしょう。(夏場はパグやブルドッグなどの短吻犬種の空輸を受け付けない航空会社もあり)
空港では専用カウンター(おもに荷物カウンター)での受け渡しになります。子犬を発送する側(引き渡し時)は自前のキャリーケースに入れて所定の書類に必要事項を記載し、空輸費用(一般貨物の5割増し)を支払います。子犬を迎える側(受け取り時)は身分証明書(運転免許証など)の提示と受け取りのサインをするだけで、引き渡し時のキャリーケースに入った状態のまま連れて帰ることができます。
Q8. 血統書は付いていますか?
A8. ミックス犬(雑種)でなければ血統書は付いています。
そもそも血統書とは単なる家計図に過ぎません。“血統書付き=優秀犬”といったイメージをお持ちの方もいらっしゃるようですが、純血種であれば(=雑種でなければ)どのような系統であろうと血統書があって当然なのです。
また、純血種であっても何らかの事情(欠点あり、ブリーディングに不向きなどの理由)により売買に適さない場合はあえて血統書を発行しないことがあります。純血種にもかかわらず血統書が発行が付かない子犬は相場価格での売買対象となり得ないのがペット業界の常識なので、一般的な相場で販売されている場合は血統書付きと考えて良いでしょう。
血統書はさまざまな団体から発行されます。日本ではほとんどの血統書がJKC(ジャパンケネルクラブ)から発行されますが、JKCの他に日保(日本犬保存会)、JCC(日本コリークラブ)、PD(日本警察犬協会)、全猟(全日本狩猟倶楽部)、KC(日本社会福祉愛犬協会)をはじめとした数多くの団体があります。ほとんどの団体は他団体への登録変更が可能なため、変更後は交配やショーチャレンジでの幅が広がりますが、一部互換性がないパターン(例:KC登録からJKC登録への変更など)ではそれらに制限が生じるケースもありますのでご注意ください。
血統書は申請者(ブリーダー)宛てにまとめて送付され、ブリーダーさんから各飼い主さん宛てに送付されます。多くのブリーダーさんは生後2~3ヶ月齢に血統書の発行を申請するので生後3~4ヶ月齢頃に発行されますが、親犬のDNA鑑定登録などイレギュラーな手続きが重なるなどの理由によりさらに1~2ヶ月を要する場合もあります。
発行された血統書は所有者が繁殖者(ブリーダー)の名義となっていますが、ペットとして飼育する限りは名義変更せずにそのまま保管して頂いても支障はありません。ただし、将来的にショーチャレンジやブリーディングをされる場合はご自身の名義に変更し、その団体の会員として登録する必要があります。